0℃
無色透明で六方晶系の結晶を持つ。融点は通常の気圧で摂氏0度。この氷は「氷I」と呼ばれる。現在のところ、圧力が高い状態において氷IIから氷VIIまで発見されている。きわめて高い圧力下では、水素結合が縮んで水分子の配列が変わる。このように様々な相が存在することを多形という。 冷蔵庫などで作った氷は白い気泡が混ざっているが、これは水中にあった空気が閉じ込められたものである。気泡を防ぐにはゆっくり凍らせる、一度煮沸した水を使うなどの方法があるが、完璧ではない。
氷が融解するときは潜熱として1キログラムあたり約 80 kcal (333.5 kJ) の熱を周囲から奪う。これは同量の水を0℃から80℃まで温めることができるほどの熱量である。また、氷は圧力により界面が融解する性質がある。スケート・スキー・カーリング・そりなどはこれらの性質を活かしている。 通常気圧において、氷は0.9168 と比重が軽いため水に浮く。このように固相の方が液相よりも密度が低い物質は非常に珍しい。 凍る際は体積が約11分の1増加するため、水が密閉された状態で凍ると周囲の物質を押し出し、時に破壊する。例えば岩の隙間に水が入り込んで氷になると、岩を破壊する。冬季の寒冷地では水道管の破裂を防ぐため、夜間は水抜栓を用いて水を冷気の及ばない地中に落とし、凍結を防ぐ。
近世以前、人為的に冷却効果を得る技術が登場するまでは、氷自身を冷却源として利用していた。氷を冷やすことのできるものはなかったため、冬季に、または寒冷地にて得られた氷を、なるべく融かさないように運搬し保管する努力が様々に講じられた。保管方法としては、地下や洞窟の奥などに空間を作りなるべく大量の氷を置いて冷却効果を得ようとするものが多く、日本ではこれを氷室(ひむろ)などと呼んだ。断熱効果を得るため、オガクズなども用いられた。 氷の冷却効果の主な要素は、融けて固体から液体になる際に多くの熱量を吸収しようとすることで周囲の熱を奪い取ることによる。このことによる蓄熱(熱の吸収)効果は高いが、現実には氷を作り出すことに必要なエネルギーを考慮するとあまり経済的とは言えなかった。 しかし昨今では、冬に降った大量の氷雪を保管しておいて夏期の冷房に利用しようとする試みや、気温が低く電力需要も少ない(そのため電力料金も安くなる)夜間に製氷しておき昼間の冷房に役立てようとするサービスなどが普及しつつある。